Wednesday, October 28, 2009

南アルプス市伊奈ヶ湖















南アルプス市の南、早川町のカツラ並木を見て以来、カツラに取り憑かれて、南アルプス市の観光案内の通り、紅葉時、モミジ・カツラとある伊奈ヶ湖に向かう。途中から山の中へ入って行く。街路樹ハナミズキがワイン色に染まっている。神社へ続く、イチョウ並木もきれいだ。手の届きそうにない山の頂付近は、ゴブラン織りのふくよかな色に染まっている。つづら折れの道は、勾配を上げて、車に負担を強いる。と、左に鏡のように映る緑色の水をたたえて、湖面が広がる。伊奈ヶ湖だ。周囲は2~3百メートルの遊歩道。湖面との境にモミジが真っ赤に色付いている。その先の北伊奈ヶ湖の湖周でもモミジの紅葉がまぶしい。
早めについたので、山梨市へ。ほったらかし温泉を目指す。坂というよりも丘の町だ。市の外周に沿って上る。フルーツパークの園内の紅葉が美しい。オオモミジ・ユリノキ・イタヤカエデ・ケヤキ・サクラ・カキ・カツラ・モミジバフウ・ハナミズキそれぞれが、最後の色までの色変わりの過程をものの見事に表現しながら、日に映えて、透けて、風に揺れて、葉を落としている。モミジバフウは、手のひらサイズの5裂の葉に、ワイングラス一杯に注いだ時の濃いワインカラーに染めながら、色あせるとは思えない艶のあるレザーの光沢を蓄えている。残念ながら、静岡では、この時間は訪れることなく、ほんの一瞬、色を付けたかと思うと、カサカサと音を立てて枯葉となって落ちる。もっとも、街路樹はその前に、掃除の煩わしさからか、市の清掃員が、枯れる前に枝を払ってしまい、裸にされ、瘤だらけになった木々が寒風にさらされることになる。いい紅葉でした。見ごろは、11月はじめまで。

Friday, October 23, 2009

加藤和彦様

加藤さんが亡くなられた。高校3年の暮れに、奇妙な歌がはやった。”帰ってきたヨッパライ”である。早回しの声と北山和尚(確かお寺の子?)の説教が関西弁で語られていた。最後のお経には、ビートルズのアハードデイズナイトの文言。都会では学生たちが親の脛をかじって車を持ち始めていた。そんな世相もあってか、関西から爆発してあっという間に100万枚を売った。私は、父からもらったラジオで関西の、毎日放送や朝日放送を微妙なタッチで選局して、勉強しながら彼らの放送を聞いた。その頃はやり始めた深夜放送を会話のネタにした、ながら族の走りでもあった。”あの素晴らしい愛をもう一度”も、思い出の曲で、急遽決まった結婚式の披露宴で、友達が歌ってくれた。彼とは、大学でデュオをギターを片手に趣味として歌っていた。加藤君の曲はよく歌った。この曲もよくハモった。うれしかった。でもよく聞くと、失恋の歌だ。そんなことを感じさせない名曲なのだろう。
         


Thursday, October 01, 2009

西山温泉慶雲館













 
 山梨県南巨摩郡早川町の西山温泉。静岡から2時間半。1号線ー52号線ー37号線と乗り継いで、最後に狭い・暗い・怖い青崖隧道を抜けると早川町。フォッサマグナをなぞるこの道は、温泉街道かもしれない。
 705年藤原真人がディスカバーしたという。調べると真人は後の定恵、不比等の兄である。748年には、孝謙天皇(女帝)が、湯治に来た。枕元にここの霊泉が立ったという。
 途中、青崖隧道付近の、色付をはじめた紅葉。木洩れ日のように明るく黄色く色付いた桂並木を通る。
 慶雲館。温泉は、極上。露天主体の6箇所の風呂も借景と溶け合って優雅。対岸にはフォッサマグナ(中央構造線)の断層。そんな中、芯まで届く温かさと、ほのかな硫黄の香りを楽しむ。
 帰りは雨。煙った山並みと、沸き出る滝の歓送の中、山を下る。お土産は、温泉水と栃の実そば。
 記憶に残る温泉である。